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ファイル3 第8話:狂気の継承者と、虚空からの帰還者

last update Date de publication: 2026-02-13 18:32:46

 ウィィィィン……。

 正門の分厚い強化ガラス扉は、俺たちが近づくとセンサーが感知し、滑らかに左右へ開いた。外見は蔦に覆われた廃墟のはずなのに、自動ドアの機能は生きていたのだ。

「……空調が効いています」

 薫が身震いして言った。一歩足を踏み入れると、そこは外界とは隔絶された別世界だった。

 外の湿った熱気とは無縁の、冷たく乾燥した空気。磨き上げられた大理石の床。天井にはモダンなLED照明が煌々と輝き、広々としたエントランスホールを無機質に照らし出している。

『――ようこそ、神去島へ』

 突然、ホールに設置されたスピーカーから、理知的だが冷ややかな男の声が響いた。外にいたゾンビたちのようなノイズ混じりの声ではない。明確な殺意と知性を孕んだ声だ。

『待っていたよ、侵入者諸君。……さあ、奥へ来たまえ。話し合おうじゃないか』

「……話だと?」

『そうだ。君も、ただ暴れに来
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     ウィィィィン……。 正門の分厚い強化ガラス扉は、俺たちが近づくとセンサーが感知し、滑らかに左右へ開いた。外見は蔦に覆われた廃墟のはずなのに、自動ドアの機能は生きていたのだ。「……空調が効いています」 薫が身震いして言った。一歩足を踏み入れると、そこは外界とは隔絶された別世界だった。 外の湿った熱気とは無縁の、冷たく乾燥した空気。磨き上げられた大理石の床。天井にはモダンなLED照明が煌々と輝き、広々としたエントランスホールを無機質に照らし出している。『――ようこそ、神去島へ』 突然、ホールに設置されたスピーカーから、理知的だが冷ややかな男の声が響いた。外にいたゾンビたちのようなノイズ混じりの声ではない。明確な殺意と知性を孕んだ声だ。『待っていたよ、侵入者諸君。……さあ、奥へ来たまえ。話し合おうじゃないか』「……話だと?」『そうだ。君も、ただ暴れに来たわけではないだろう? 知りたいことがあるはずだ』 ホールの奥へと続く廊下の照明が、誘うように順に点灯していく。「……どうしますか、先生」「行こう。どのみち、親玉を叩かないことには始まらない」 俺は妖刀の柄に手をかけ、警戒しながら廊下を進んだ。 突き当たりの重厚な扉が開くと、そこは巨大な観察室だった。正面の強化ガラス越しに見下ろせるのは、数々のカプセルと複雑な配線がのたうつ、地下実験場だ。 さらに奥へ進むと、壁一面がガラス張りになった広いオフィスのような空間に出た。 そのガラスの向こう側――制御室とおぼしき場所に、一人の男が立っていた。白衣を纏った痩身の男だ。神経質そうな眼鏡の奥で、感情の読めない冷たい瞳が俺たちを見下ろしている。 ガシャーン! 入ってきた扉が、背後で重々しい音を立ててロックされた。「私がこの施設の管理者、氷室だ」 氷室は、ガラス越しに俺たちを見下ろした。それは人間を見る目ではない。シ

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  • 霊聴古物商 槻島蓮の怪異ファイル   ファイル3 第6話:錆びついた休息地と、反撃の狼煙

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  • 霊聴古物商 槻島蓮の怪異ファイル   ファイル1 第4話:「もうこの世にいない」 ――絶望の底で“何か”が喉笛を裂く

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     俺はいわゆる動画配信者だ。まだ登録者数は二百人程度だが、最近始めた心霊スポット巡りがニッチな層にマッチしたみたいで、ここ数日は確実に登録者数が増え続けている。「はい! 今日はこちら、『出る』という噂で有名な古民家にやって来ました!」 俺はスマホのカメラに向かって元気にアピールする。今日訪れたのは、最近になって妙な噂が立ち始めた古い家だった。俺のような動画配信者は掃いて捨てるほどいる。要はいかに早くトレンドを先取りするか、そしてそれを続けられるかにかかっている。ぶっちゃけ登録者数が増えないのに動画の編集をするなんて、むちゃくちゃ苦痛な作業だ。だが、憧れの有

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